#75 海外財産への日本の相続税の課税
日本に住んでいても海外に不動産などを持っている場合、日本に財産があるのと同じように相続税がかかります
しかし一定の要件を満たす場合は、その海外財産に日本の相続税がかからないこともあります
今回は海外財産がある場合の相続税について簡単にご説明します
■ 財産が海外にあっても相続税の対象となる
相続税の考え方は、国ごとに異なります
被相続人の居住国と相続財産のある国が異なる場合、「被相続人の国籍がある国の相続税がかかる」と定めている国もあれば、「相続財産のある国の相続税がかかる」と定めている国もあります
日本では「被相続人の国籍がある国の相続税が相続人にかかる」という考え方を採用しています
そのため、日本に住んでいる被相続人が海外に不動産や預金などの財産を持っている場合には、その海外財産に対して日本の相続税がかかるのです
では、被相続人が海外に住んでいれば日本の相続税はかからないのでしょうか?
海外にある財産が日本の相続税の対象にならないものについて、法律では被相続人・相続人ともに相続開始前10年以上海外に居住している場合には日本の相続税はかからないとされています
つまり、被相続人と相続人のどちらか一方が海外に住んだけでは要件は満たされず、この場合の海外財産には日本の相続税が課税されることになるのです
ちなみに、被相続人が外国人の場合は、被相続人の母国が相続税についてどのように定めているかに準じることになります
海外財産を相続するときには、被相続人と相続人がどの国にどれだけの期間住んでいるのかが重要になります
海外財産を所有する方は、相続税対策としてこの点を明らかにしておきましょう
この記事を担当した行政書士
行政書士法人いわみ会計事務所
代表
岩見 文吾
- 保有資格
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公認会計士・税理士・行政書士・FP
- 専門分野
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相続・会計
- 経歴
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行政書士法人いわみ会計事務所。大手監査法人での勤務を経て、2013年にいわみ会計事務所を開業。会計監査業務のみならず、相続に関しても年間200件近くの相談に対応するベテラン。その他、相続に関する多数のセミナー講師も引き受けている。