Q&A 孫のために預金口座をつくっている場合はどうすればいい?
Q.現在2歳のかわいい孫のために、孫名義で預金口座をつくり、毎月決まった額を入金しています。私が死んだらこの預金は自動的に孫のものになるのでしょうか?
A.あなたが亡くなった後自動的にお孫さんの預金になりません。対策を打たないと税務調査でトラブルになることも多いです。
お孫さんが現在未成年なのにまとまった金額の預金口座を持っていると、税務調査で以下の点を確認されることがあります。
●通帳・印鑑の管理・支配は誰が行っていたか?
●名義財産の原資は誰が負担していたか?
●贈与税の申告をしているかどうか?
贈与は契約行為ですので、財産をあげる人とももらう人の双方が贈与の事実をきちんと認識し合意しなければ成立しません。
あなたが亡くなった時点で、お孫さん名義の預金の通帳や印鑑の場所をお孫さんやその親(=息子・娘)が把握していなかったり、口座の存在自体を知らなかったりすると、贈与が成立していないため、その財産は単にあなたの名義を借りているだけの財産(いわゆる名義借預金)とみなされ、税務上は亡くなったあなたの相続財産として相続税が課されることがあります。
現時点でできる対策としては、たとえば次のようなものが考えられます。
● 適当なタイミングでお孫さんとその親に預金の存在を知らせ、通帳と印鑑を渡し使用できるようにする
● 同じ額を入金するのではなく金額に差をつける工夫をする。毎年110万円以内の贈与ではなく、ある年にはいくらか基礎控除額を上回る贈与をして、少額でも贈与税を払っておく
そもそも贈与が成立していなければ、祖父母の預金とみなされますので、もし多額の預金がある状態で祖父母に相続が発生すれば大変です。税務上は相続税の課税の対象になります。
ちなみにこの問題は、夫婦間の場合にも同じ事が起きる可能性があります。つまり、専業主婦だった妻の名義に預金を振り替えたり、妻名義の定期預金を積み立てたとしても、贈与契約がなかったり、贈与税の申告・納付がないなど、贈与の事実がなかっものと認められる場合には、夫に相続が発生したときに妻名義の預金も実質的に夫の遺産とみなして相続税がかかることがあります。
せっかくの生前対策も、後に結局効果が認められなかったり、税務処理を否認されてしまっては意味がありません。しっかりと専門家に相談しながら行いましょう。
この記事を担当した行政書士
行政書士法人いわみ会計事務所
代表
岩見 文吾
- 保有資格
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公認会計士・税理士・行政書士・FP
- 専門分野
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相続・会計
- 経歴
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行政書士法人いわみ会計事務所。大手監査法人での勤務を経て、2013年にいわみ会計事務所を開業。会計監査業務のみならず、相続に関しても年間200件近くの相談に対応するベテラン。その他、相続に関する多数のセミナー講師も引き受けている。