#100 教育資金の一括贈与制度
「資産を子や孫に渡したい」という方に多く利用されているのが、教育資金の一括贈与制度です
この制度を使えば、1500万円までは非課税で贈与することができます
非課税枠が大きいため相続税対策としても有効ですが、一方で安易な利用が思わぬ負担を生じることもありますので、細かなルールについてもきちんと理解しておく必要があります
今回は、教育資金の一括贈与制度を注意点とあわせて簡単にご説明します
教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度(以下「本制度」)は、祖父母や親などの直系尊属から信託などによって教育資金の一括贈与を受けた場合に、1500万円を限度として、贈与税を非課税にできる制度です
一定の条件を満たす場合に、金融機関等を経由して教育資金非課税申告書を提出することで適用されます。「一括贈与」といいますが必ずしも『一括』で贈与する必要はなく、限度額の範囲内で『分割』して贈与してもかまいません
非課税枠が大きいことから相続税対策における最大のメリットであるといえます
節税対策としては、毎年110万円(贈与税の基礎控除額)を上限に暦年贈与する方法もありますが、贈与者が高齢の方の場合、暦年贈与では年数がかかりすぎるケースもあります
この場合、本制度を活用すればまとまった金額を非課税で贈与できますから、非常に使い勝手がよいといえます
また、暦年贈与や相続時精算課税制度と併用することも可能です
なお、本制度は税制改正によって内容が変更されることがあります。活用を検討する際は本税制や改正の内容を必ずきちんろ確認してから実行するようにしましょう
本制度には次のような注意点があります
●適用期限付きの特例措置である
本制度は2021年3月31日までの特例措置で、2020年12月時点では、制度を2年延長(2023年3月31日まで)する方向で検討が進んでいます。いずれにしても、適用期限付きの特例措置であることには変わりありません
●教育に関すること以外に使うことはできない
贈与された資金は教育資金として使う必要があり、用途を証明するために、領収書などの提出が求められます。もし教育に関すること以外にお金を使った場合は、本制度の対象とならず、贈与税が課税されます
●原則、30歳までに全額使い切る必要がある
もし30歳になった時点で使いきれなかった資金が残っている場合は、教育資金管理契約終了時点で贈与があったことと見なされ、贈与税がかかります
●贈与から3年以内に相続が発生すると、相続税の課税対象となることがある
教育資金の贈与開始から3年以内に贈与者が亡くなった場合、条件に該当すれば、贈与額のうち相続開始までに使いきれなかった分が、贈与者の相続財産に組み込まれます
この記事を担当した行政書士
行政書士法人いわみ会計事務所
代表
岩見 文吾
- 保有資格
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公認会計士・税理士・行政書士・FP
- 専門分野
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相続・会計
- 経歴
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行政書士法人いわみ会計事務所。大手監査法人での勤務を経て、2013年にいわみ会計事務所を開業。会計監査業務のみならず、相続に関しても年間200件近くの相談に対応するベテラン。その他、相続に関する多数のセミナー講師も引き受けている。