#95 遺産相続した相続人の確定申告が必要になるケースは
相続人が相続財産を取得したとしても、それ自体で確定申告が必要になる、というわけではありません
確定申告は、所得が発生した場合に申告・納税が必要になります
単に相続財産を承継しただけでは所得は発生していませんので、所得税ではなく相続税の対象となります
ただし、相続財産が賃貸物件であったため相続後に賃料収入があった場合や、相続財産を相続後に売却した場合に控除を受けたい場合などには、確定申告が必要になる可能性があります
今回は、相続人が遺産を相続した際に確定申告するケースを簡単にご紹介します
【確定申告が必要なケース】
①賃貸物件など収益がある財産を相続したとき
相続人が遺産として賃貸アパートや月極駐車場などの収益物件を相続した場合、相続後にそこから得られる賃料などの収益は相続人の収入となります
よって、相続人は確定申告をして所得額を国に申告し、納めなければならない税金がある場合には、その額を納付する必要があります
②相続財産を売却して収益を得たとき
相続税を納税して取得した不動産を売却したときには、いわゆる「取得費加算」として先に納税した相続税の一部を取得費として計上することができます
被相続人が住んでいた自宅を相続人が相続後に売却した場合、一定の要件を満たす場合に、所得額から3000万円を上限として控除を受けることができる、いわゆる「空き家特例」があります
これらはいずれも、所得税や住民税を節税できる効果があります。これら特例を使うためには確定申告を行わなければなりません
③相続人が財産を寄附したとき
相続した遺産の一部を、相続税の申告期限までに国や地方公共団体・特定の公益法人など一定の団体に寄附したときには、寄附した財産については、相続財産に含まずに相続税を計算されるほか、所得税の寄附金控除を受けられます
寄附金控除を受ける際には、確定申告が必要です
この記事を担当した行政書士
行政書士法人いわみ会計事務所
代表
岩見 文吾
- 保有資格
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公認会計士・税理士・行政書士・FP
- 専門分野
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相続・会計
- 経歴
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行政書士法人いわみ会計事務所。大手監査法人での勤務を経て、2013年にいわみ会計事務所を開業。会計監査業務のみならず、相続に関しても年間200件近くの相談に対応するベテラン。その他、相続に関する多数のセミナー講師も引き受けている。