#94 『令和3年度税制改正大綱』における相続税・贈与税の変更点
自民・公明両党が昨年12月10日に『令和3年度税制改正大綱』を発表しました
今回も『住宅取得資金の贈与を受けた場合の非課税措置の延長』など、一般の方にもに関係する内容が含まれています
そこで今回はこの大綱の一部を抜粋してお伝えしたいと思います(2020年12月10日時点の内容です。以降変更される場合があります)
【延長】
■住宅取得資金の贈与を受けた場合の非課税措置
父母・祖父母などの直系尊属から子や孫へ、住宅取得を目的とした資金を贈与した際に適用される非課税措置について、2021年4月1日から同年12月31日まで延長
非課税限度額について、2020年と同額のまま据え置く方針です
(消費税等の税率10%が適用される住宅用家屋の新築等では1200万円に引き下げられる予定だった非
課税枠を1500万円に、それ以外の住宅用家屋の新築等でも800万円から1000万円に、それぞれ拡大したまま)
適用範囲については、贈与を受けた年の合計所得金額が1000万円以下である場合に限り、床面積要件の下限を50㎡以上の物件から40㎡以上の物件まで広げます
■教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与にかかる贈与税の非課税措置
父母・祖父母などの直系尊属から、教育資金や結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、租税回避の防止等に関する要件を加えたうえで、適用期限を2年延長する
【制度拡充】
国外財産の相続税・贈与税の非課税
高度な外国人材の就労を促進する目的で、就労等のために日本に居住する外国人が、相続人等として取得する国外財産は、相続税等の課税対象としない
【負担軽減】
土地にかかる固定資産税等の負担調整措置
2021年は土地の評価変えの年に当たるが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で地価が下がる等により土地所有者の負担が重くなっていることから、負担軽減のための特例措置が講じられる
具体的には、2021年度に限り、宅地等および農地において、固定資産税の課税額が2020年度を上回る場合には2020年度のまま据え置きとし、課税額が減る場合はそのまま反映することとなります
【制度拡充】
非上場株式にかかる相続税の納税猶予の特例制度
後継者不足に悩む企業の現状を鑑み、事業承継を円滑に進めるため、非上場株式の相続において、相続税の納税猶予が受けられる対象範囲を拡大する
後継者が相続開始の直前において、特例認定承継会社の役員でなくても、条件付きで本制度の適用を受けることができ、相続税が100%猶予される
【延長】
土地所有権の移転登記等にかかる登録免許税の軽減措置
土地の売買による所有権の移転登記において、その登録免許税の税率を2.0%から1.5%に軽減する特例措置を2年延長する
この記事を担当した行政書士
行政書士法人いわみ会計事務所
代表
岩見 文吾
- 保有資格
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公認会計士・税理士・行政書士・FP
- 専門分野
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相続・会計
- 経歴
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行政書士法人いわみ会計事務所。大手監査法人での勤務を経て、2013年にいわみ会計事務所を開業。会計監査業務のみならず、相続に関しても年間200件近くの相談に対応するベテラン。その他、相続に関する多数のセミナー講師も引き受けている。