#93 亡くなった年の確定申告『準確定申告』
個人事業主や不動産所得がある人など一定の条件に該当する人は、確定申告を行ってその年の所得額を国に申告しなければなりません
これは亡くなった人も同様です。しかし相続後は確定申告をすることができないため亡くなった年の所得については申告が漏れてしまいます
そこで亡くなった方の代わりに相続人などが手続きをする『準確定申告』という制度があります
『準確定申告』は、亡くなった人の代わりに相続人が確定申告を行うことをいいます
準確定申告が必要となるのは確定申告が必要となるケースと同じで、たとえば被相続人が次のような事情に該当する場合です
●フリーランス・自営業などの個人事業主
●不動産所得や株式投資などによる所得がある
●副業などで給与所得以外に20万円を超える所得がある
●給与所得が2000万円を超えている
●公的年金が400万円を超えている
●源泉徴収されていない退職所得がある
準確定申告では税金が還付される場合もあります
準確定申告書は、被相続人の死亡当時の住所を管轄とする税務署に提出します
申告義務者は相続人(包括受遺者を含む)です
申告義務者が複数いるときは、全員が署名押印して共同申告を行います(相続人等が別々に申告する方法もありますが、ここでは割愛します)
準確定申告の期限は、申告義務者が『相続の開始があったことを知った日の翌日から4カ月以内』です。これを過ぎると、延滞税などが課されることもあるため注意が必要です
被相続人が1月1日から確定申告期限(原則3月15日)までの間に前年分の確定申告書を提出しないで死亡した場合は、前年分・本年分ともに、相続開始を知った日の翌日から4カ月以内が提出期限です
準確定申告の手順は次のとおりです
①必要書類を収集する
被相続人の収入が分かる源泉徴収票などの書類を収集します。所得控除を受ける場合には控除証明書を用意します
②準確定申告書を作成する
提出が必要なものは、確定申告書の第1表・第2表、および付表です。提出する際には、表の一番上の『確定申告書』の前に『準』の文字を付け足し、氏名の欄は『被相続人 〇〇〇〇』のように記入します
付表には、各相続人等の氏名・住所・被相続人との続柄などを記入します
相続が発生すると多くの手続きに追われることになります
被相続人に準確定申告が必要かどうか、早めに確認するようにしましょう
この記事を担当した行政書士
行政書士法人いわみ会計事務所
代表
岩見 文吾
- 保有資格
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公認会計士・税理士・行政書士・FP
- 専門分野
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相続・会計
- 経歴
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行政書士法人いわみ会計事務所。大手監査法人での勤務を経て、2013年にいわみ会計事務所を開業。会計監査業務のみならず、相続に関しても年間200件近くの相談に対応するベテラン。その他、相続に関する多数のセミナー講師も引き受けている。