#91 85歳未満の障害者に適用される相続税の『障害者控除』
『障害者控除』とはどのような制度なのか?
相続人の中に85歳未満の障害者がいるときには、その相続人にかかる相続税額から一定額を控除することができる『障害者控除』という制度があります
障害者控除は、財産を引き継いだ障害者に対して、近親者を亡くしたあとの生活費や医療費負担に配慮した制度といえます
そこで今回はこの相続税の障害者控除について、その概要や適用要件などを簡単にご紹介します
障害者は、経済的にも物理的にも、1人で生活するのが大変な場合があります
そうでなくても、保護者であった近親者が亡くなったときに、障害者は健常者に比べて生活への影響が大きいことが考えられます
そこで、相続人に税法上の『障害者』がいる場合には、相続税が控除される制度が用意されています
障害者控除の次の適用要件があります
●相続や遺贈で財産を取得した時に、日本国内に住所がある
●相続や遺贈で財産を取得した時に、障害者である
●相続や遺贈によって財産を取得した人が、法定相続人である
法定相続人ではないのに遺言書などによって財産を取得した場合には、障害者控除を受けることは
できません
障害者控除の額は、次のように算出します
『障害者が満85歳になるまでの年数×10万円※』
※より障害の程度が重い特別障害者の場合は20万円
仮に障害者が10歳だとすると、(85歳-10歳)×10万円=750万円が障害者控除として相続税額から控除されることになります
ちなみに、障害者控除の額の方が相続税よりも高くなることがあります。そのときには、残余の分を扶養義務者である他の相続人の相続税額から差し引くことができます
また、障害者控除を過去に受けたことがある場合には、控除額が計算式よりも低くなることがあります
小規模宅地等の特例など、相続税における控除制度を利用する場合、控除後に相続税額が0になったとしても、申告が必要なケースがあります。しかし障害者控除においては、控除後に相続税額が0になった場合は申告が必要ありません
心当たりがある時は、申告が必要かを判断するためにも、障害者控除が適用されるのか、控除額がいくらになるかなどを確認しておきましょう
この記事を担当した行政書士
行政書士法人いわみ会計事務所
代表
岩見 文吾
- 保有資格
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公認会計士・税理士・行政書士・FP
- 専門分野
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相続・会計
- 経歴
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行政書士法人いわみ会計事務所。大手監査法人での勤務を経て、2013年にいわみ会計事務所を開業。会計監査業務のみならず、相続に関しても年間200件近くの相談に対応するベテラン。その他、相続に関する多数のセミナー講師も引き受けている。