#84 相続不動産を売却する際に受けられる特例
「両親が昔購入した別荘を相続したが、遠方で行く機会もなく管理も大変なので売却したい」、
「自分はマンションを購入して住んでおり、相続した実家は地方で住むこともないので手放したい」、
といったように、相続した不動産を相続後間もない時期に処分するケースは珍しくありません
その際、相続開始から3年10カ月以内に売却すれば税制面で有利になる制度があります
今回はその制度(取得費加算の特例)について簡単にご説明します
不動産を売却したときに利益が出たら、原則として、その利益には『譲渡税』が課税されます
譲渡税の税率は高く、売却した年の1月1日現在で所有期間が5年以下であれば39%、5年超の場合でも20%の税が課税されます
(いずれも譲渡に係る住民税を含み、復興特別所得税を除く税率)
相続した不動産を売却する場合、所有期間は『被相続人がその不動産を取得した日』からカウントします
課税譲渡所得の金額は、以下の計算式で算出します
収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額 =課税譲渡所得金額
取得費:その不動産を買い入れたときの購入代金や仲介手数料などの合計額
譲渡費用:仲介手数料、測量費など不動産売却のために直接要した費用、貸家の売却に際して入居者に支払った立退料、建物を取り壊して土地を売却したときの取壊費用 など
特別控除額:収用等により土地建物を譲渡した場合やマイホームを譲渡した場合など、一定の場合に適用される控除の額
相続した不動産を処分する場合、相続開始後3年10カ月以内の売却であれば
売却した不動産に対する相続税額のうち一定額を取得費に加算することができます
これを『取得費加算の特例』といいます
取得費が加算されるため課税対象になる譲渡所得がその分少なく計算されますから、税負担を抑えられる、というしくみです
特例を適用するためには以下の条件を満たす必要があります。
相続や遺贈により財産を取得していること
その財産を取得した人に相続税が課税されていること
この特例を受けるためには、確定申告時に必要書類を添付して申告しなければなりません。自動的に特例が適用されるわけではないので注意が必要です
この記事を担当した行政書士
行政書士法人いわみ会計事務所
代表
岩見 文吾
- 保有資格
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公認会計士・税理士・行政書士・FP
- 専門分野
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相続・会計
- 経歴
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行政書士法人いわみ会計事務所。大手監査法人での勤務を経て、2013年にいわみ会計事務所を開業。会計監査業務のみならず、相続に関しても年間200件近くの相談に対応するベテラン。その他、相続に関する多数のセミナー講師も引き受けている。