#73 亡くなる3年前の贈与について
相続税対策として生前贈与を活用している人は多いと思います
しかし相続人に財産を贈与してから3年以内に贈与者が亡くなってしまった場合、その贈与した財産も相続財産として相続税の課税される遺産に含めなければなりません
今回は3年以内の贈与にかかる相続税と贈与制度を使うときの注意点について簡単にご説明いたします
■「3年以内の贈与」に相続税がかかる?
年間110万円以下の贈与を行う場合、基礎控除内で収まるため贈与税はかかりません
しかし、たとえば贈与者が亡くなる前3年間の間に110万円ずつを法定相続人に対して暦年贈与していた場合、その330万円は相続税の対象になります
また、直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合や住宅取得等資金の贈与などを受けた場合、一定の要件を満たすものは特別な非課税枠が設けられていますが、この場合も相続開始3年以内になされているものは非課税枠を超える額について同じく相続税の対象となります
なお、この3年以内の贈与の対象となるのは受贈者が法定相続人の場合です
つまり、孫や相続人の配偶者に対する贈与については、相続開始から3年以内の贈与であったとしても相続財産として加算されません
■相続税対策として贈与制度を使うときの注意点
子が複数いる場合でそれぞれに暦年贈与を行っていたような場合、加算される額が大きくなる可能性があるので注意が必要です
相続税の課税対象に含まれるのは、亡くなった日から3年以内の贈与のものです
そのため、生前贈与を相続税の節税対策の一環として行う場合には、早い時期から贈与を始めておくことが一番の対策です
なお、3年内になされた贈与契約自体の法律効果が無効になるわけではありません
あくまでも相続税の課税対象に含まれるにすぎず、生前贈与自体は有効です
この記事を担当した行政書士
行政書士法人いわみ会計事務所
代表
岩見 文吾
- 保有資格
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公認会計士・税理士・行政書士・FP
- 専門分野
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相続・会計
- 経歴
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行政書士法人いわみ会計事務所。大手監査法人での勤務を経て、2013年にいわみ会計事務所を開業。会計監査業務のみならず、相続に関しても年間200件近くの相談に対応するベテラン。その他、相続に関する多数のセミナー講師も引き受けている。