Q&A 亡くなった父の連帯保証債務が発覚した場合、どうする?
Q. 2カ月前に父が亡くなりました。相続人は私(長女)と兄(長男)のみです。父の遺産を調べたところ、評価額が5,000万円の自宅兼工場と預貯金が200万円ありました。兄より電話で、兄は父の仕事を継ぐので、自宅兼工場は兄が相続し、その代わり私には預貯金の200万円を渡したい、という相談がありました。ところが、父の死から1カ月後に兄から、父の連帯保証債務が2,000万円あり、半分の1,000万円を負担して欲しいと連絡が来ました。そんなお金はありません。どうしたらよいでしょうか?
A. 「相続放棄」を検討しましょう
相続開始から3カ月以内であれば、「相続放棄」が申立てることができます
相続放棄の申述を家庭裁判所に申し立てましょう
相続放棄が認められれば、最初から相続人ではなかったことになり、連帯保証債務を相続する必要がなくなります
亡くなった人の借金の連帯保証人など、隠れた債務の存在が相続後にわかることもあります
債務の存在を知った日(返済の請求が来た日など)から3カ月以内であれば、相続放棄が認められることもあります
ただし、以下のように、自分の利益を得るための行為をした場合は、
遺産を相続する単純承認したとみなされて、
相続放棄が認められない可能性があります
①不動産や動産(商品や自動車など)の遺産を売却する行為
②遺産分割協議への参加や、遺産分割協議書への押印
③不動産の相続登記など相続財産の名義変更
④預貯金を引き出し、消費するなどの行為
なお、亡くなった人の税金の滞納分を支払う、葬儀にかかった費用を清算するなどの行為で財産を処分するのであれば、問題はないと考えられています
事例の場合は、遺産分割協議に参加したかどうかが重要なポイントになります
電話での相談が遺産分割協議に相当するかどうかを一律に判断することは難しいといえますが、相続財産の預貯金を引き出しているわけではありませんので、相続放棄が受理される可能性も十分に考えられます
弁護士などの専門家に事情を説明して家庭裁判所に提出する申述書を作成してもらいましょう
親が事業をやっていて、どこかに債務があるかもしれないと疑われる時や、財産の全貌がわからない、という時があるかもしれません
そんな場合は、「相続放棄」だけでなく、相続分がマイナスにならない程度に遺産を相続する「限定承認」という方法を選ぶことも検討すると良いでしょう
どちらも選ばずただそのままにしていて相続開始から3カ月を過ぎると、単純承認をしたとみなされてしまうので注意が必要です
この記事を担当した行政書士
行政書士法人いわみ会計事務所
代表
岩見 文吾
- 保有資格
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公認会計士・税理士・行政書士・FP
- 専門分野
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相続・会計
- 経歴
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行政書士法人いわみ会計事務所。大手監査法人での勤務を経て、2013年にいわみ会計事務所を開業。会計監査業務のみならず、相続に関しても年間200件近くの相談に対応するベテラン。その他、相続に関する多数のセミナー講師も引き受けている。